子宮内膜症

子宮内膜症は子宮の内膜と同様の組織が、子宮内腔以外の場所(卵巣や子宮の裏側が多いのですが)に発生してきたものです。卵巣に発生する内膜症性嚢胞はチョコレート嚢胞とよばれます。

症状としては月経痛、性交痛、排便痛(とくに月経時)などの疼痛が主体ですが、不妊症を伴うことが多いことも知られています。また月経時に便が緩くなったり下痢になることも子宮内膜症の症状である可能性があります。子宮内膜症は進行性の疾患であり、重症化すると手術が必要になることもあります。初期の段階で診断するのは難しいことが多いのですが、早めに対応することにより効果的な薬剤治療が行えるので、月経痛の気になる方は、一度受診されることをお勧めします。
子宮内膜症の診断および治療については、名古屋大学に在籍していた1980年代から積極的に取り組んでおります。血液中の子宮内膜症のマーカーを月経周期と連動して測定する方法を1988年にアメリカの専門誌に発表していますが、この方法だと通常難しい初期の子宮内膜症の診断精度を上昇させることが可能です。
治療に関しても個々の患者様の病状(月経痛だけなのか、チョコレート嚢胞を合併しているのか等)、バックグラウンド(年齢、挙児希望の有無等)を考慮して適切な方法を選択します。
手術が必要と判断された場合には関連病院を紹介させていただきます。