婦人科がん検診の対象としては、子宮がんと卵巣がんがあります。子宮がんには子宮の入り口(子宮頚部)にできる頚がんと、子宮の奥にできる体がん(内膜がんともいいます)があります。頚がんは20代後半から40代にかけて増加しますが近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。一方体がんは50代~60代に多くみられます。頚がんはウイルス感染により引き起こされますが、体がんは閉経年齢が遅い、出産歴がない、肥満、糖尿病、高血圧などがリスク因子となっています。
日本でも子宮頸がん予防ワクチンが使用できるようになり、特に若い女性における子宮頸がんの予防および早期診断が注目されています。子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)により惹き起こされることがわかってきました。HPVは80%の女性が感染するといわれている、ごくありふれたウイルスです。ウイルスに感染しても90%以上のひとでは自然にウイルスは消失するのですが、ごく一部のひとで居座ってしまい(持続感染)、その結果子宮頸がんが惹き起こされます。ただ頸がんになるまでに数年~十数年かかることから、定期的に検診を受けていれば確実に治療することが可能です。
頚がんワクチンはHPVの感染を予防するものです。何種類もある発がん性HPVの型のうち頚がんを惹き起す確率の高い型の感染を防ぎますが、すべての型の発がん性HPV感染を予防するものではありません。したがってワクチン接種後も定期的な検診は必要となります。頸がん検診の内容としては、細胞診・コルポ診・組織診に加えてHPV感染の有無を調べるHPVテストがあります。当院では細胞診・コルポ診・組織診・HPVテストのすべてに対応が可能です。コルポ診はコルポスコープと呼ばれる拡大鏡を使って診断するもので、組織診に際して、組織を採取する場所の確認になくてはならない診断法です。
子宮がん検診としては子宮体がん(子宮内膜がん)の検査もあり、これは子宮の奥にある子宮内膜を細胞診と組織診で調べます。卵巣は直接触れることが出来ないため細胞診・組織診が出来ません。卵巣がんの検診はエコーと腫瘍マーカー(採血による検査です)を使用して行います。